橋本病について
甲状腺機能低下症の代表が橋本病です。甲状腺機能低下症は、バセドウ病と正反対で、甲状腺ホルモンの量が不足して、新陳代謝が低下し全てが老けていくような症状がみられます。無気力で頭の働きが鈍くなり、忘れっぽく、ひどくなると認知症の原因の1つにもなります。寒がりで皮膚も乾燥してカサカサになったり、体全体がむくみ、髪も抜け、眠気がありボーッとして活動的でなくなります。
橋本病も甲状腺臓器特異性自己免疫疾患の1つで、体質の変化により甲状腺を異物とみなして甲状腺に対する自己抗体(抗サイログロブリン抗体TgAb、抗甲状腺ペルオキシダーゼTPOAb)ができます。この抗体が甲状腺だけを破壊していき、徐々に甲状腺機能低下症になっていきます。しかし、甲状腺が腫れたり、のどの違和感を訴える方がいますが、橋本病と診断されても、すべての橋本病が甲状腺機能低下症を伴うわけではありません。約40%の人に機能異常があります。
橋本病の治療についてですが、甲状腺機能が正常であれば体に影響がなく自覚症状はないので薬は必要ありません。ただし、甲状腺腫がかなり大きい場合は、甲状腺ホルモン剤を服用すると腫れを小さくする事ができます。甲状腺機能低下症がある場合は、不足している量の甲状腺ホルモンを薬として服用します。しかし、単に足りない分を補充しているだけですので長期間の治療が必要となります。薬の効果がでれば、すべての症状は消失し日常生活は薬を服用しながら運動、仕事、妊娠、授乳など何でもできます。
なお最近、マスコミなどでヨウ素が体に大変良いと宣伝され、根昆布などの健康食品も流行しています。ヨウ素を多く含む昆布やイソジンガーグル液のうがいは、一部の人や橋本病の人には甲状腺機能低下を助長させるので、普通以上に食べない方が良いです。
橋本病の症状について
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- 甲状腺機能が正常の場合
- 甲状腺ホルモンが正常値内にあるので身体に影響はありません。そのため、自覚症状は全くありません。甲状腺腫が大きい人は、たまに喉の圧迫感や違和感を訴える人がいます。
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- 甲状腺腫大
- 慢性甲状腺炎のため、硬く腫れてくる場合が多いです。
甲状腺機能が低下になると・・・
必要量の甲状腺ホルモンが作りきれないために、全身の新陳代謝が悪くなり、以下のような様々な症状が現れます。
- 全身症状
- 寒がり、疲れやすい、動作が鈍い、体重増加、声かれ、低音
- 体温
- 低体温
- 顔つき・首
- むくみ、甲状腺腫大、のどの違和感、ボーッとしたような顔
- 神経・精神症状
- 物忘れ、無気力、眠たい、ボーッとしている
- 循環器症状
- 徐脈、息切れ、むくみ、心肥大
- 消化器症状
- 食欲低下、舌が肥大、便秘
- 皮膚
- 汗がでない、皮膚乾燥、脱毛、眉が薄くなる、皮膚の蒼白
- 筋骨症状
- 脱力感、筋力低下、肩こり、筋肉の疲れ
- 月経
- 月経不順、月経過多
- 血液値
- コレステロール上昇、肝障害、貧血
橋本病の治療について
甲状腺機能低下をきたした場合や、挙児希望の場合、甲状腺が大きく腫大した場合には薬物治療を行ないます。